ダビデのコラム

トリノの伝統的な飲み物:ビチェリン



Bicerin(ピエモンテで「ビチェリン」と発音される)は、アレクサンドル・デュマ、パブロ・ピカソ、アーネスト・ヘミングウェイといった著名人をはじめとして多くの熱烈なファンを持つホットドリンクで、その名前の由来でもあるbicerin(ピエモンテで小さなグラス)に入れて出されますが、ヘミングウェイにいたってはこのbicerinを「世界で残すべき100の物」のひとつに入れた程です。
そのレシピは門外不出で、作りたてのホットチョコレートとエスプレッソコーヒーとミルク(クリーム)を絶妙に混合して仕上げるのですが、それぞれの比率は、最終的な味によって変えていきます。
16世紀のドイツのバイエルン地方で、コーヒーとホットチョコレートと、シロップで甘味をつけた生クリームをミックスし、丸い大きなグラスで提供されていた、「bavareisa "ババロワーズ"」という美味なる飲み物から展開したものですが、bicerinのスタイルとしては、3つの材料を別々に分けて出されていました。また最初の頃は、「pur e fior
(コーヒーとミルクの意味、今日のカプチーノ)、「pur e barba
(コーヒーとホットチョコレート)、3つの材料全てを混ぜることから「'n pòc 'd tut
(全部をちょっとずつ)という3種類のタイプが存在していましたが、この3番目が、他の2タイプよりも成功を収めて今日の形となりました。これらと一緒に「bagnati (バニャーティ)」と呼ばれた菓子職人作りの甘いお菓子が供されましたが、そのバリエーションは優に14種類はありました。
そして、またの名は「Bicerin'd Cavour"カヴールのビチェリン"」。カヴールはピエモンテ王国出身の偉人で、イタリア統一の立役者、尚且つイタリア王国の初代首相でもありましたが、その彼がbicerinには目がなく、彼にとってbicerinは寒い冬の間には彼を温めて癒し、また精神的な苦労を慰めてくれる存在であったという事実によるものです。

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