ダビデのコラム

トリノ:キリスト殉教の聖遺物



トリノには三つの"キリスト殉教の聖遺物"があります。
一つめは「Sacra Sindone(聖骸布)」で、トリノの聖ジョバンニ大聖堂の中に安置されています。
この「トリノの聖骸布」として知られている聖遺物は、遺骸を包んでいたとされる麻布で、その布には"キリストの受難"をそのまま描写したごとく、虐待を受け拷問にかけられた哀れな痕跡を持つ人間の姿が写されています。聖伝ではこの姿こそキリストのものであり、この布こそがキリスト埋葬時にその遺骸を包む為に使用されたものであると認定しています。
"Sindone"という言葉はギリシャ語のσινδών(シンドン)に由来し、一般的な意味ではシーツなどの大きな布地を指す言葉ですが、その一方で高級な麻布やインド産の織物を指すこともありました。また聖骸布は公に展示されていた為に「Ostensioni(オステンシオーニ)」とも呼ばれていましたが、これはラテン語で"見せる・展示する"を意味したostendereから派生したイタリア語です。
二つめは、Maria Ausiliatrice教会にある小さな木製の十字架で、これはキリストの十字架のオリジナルの木片を組み合わせて形成されたものと語り継がれています。
三つめは、「Sacro Graal(聖杯)」を見守りながらその隠し場所を指していると言われている彫像で、正確に言うならばGran Madre教会の大階段を上がったところにある「Statua della Fede」と呼ばれている彫像です。この彫像は一方の手にはグラスを捧げ持ち、他方の手は遠くの何かを指しており、またその視線も指先と同じ方向に向けています。最近の研究により、その指と視線の軌道がPalazzo di Città(トリノ市庁舎)の正面のファサードを指していることが証明されたのですが、なんとそのファサードにはいくつかの「杯」の彫刻が浮かび上がっているのです!
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