ダビデのコラム

トリノ&ミステリー8

San Domenico通りとSanta Chiara通りが交差する場所には、トリノにおいて互いに対立する立場にあった3つの権力のシンボルが付いた建物が一緒に建っており、それはまるで其々が他2つの動きをお互いに監視している様にも見えます。そのシンボルとは、牡牛の頭(市民)、ライオン(貴族)そして犬(教会)です。
またその近くのPalazzo di Città広場の中心には現在、その黒光りする様も魅惑的なひとつの記念碑が建っていますが、これは14世紀の十字軍遠征時に指揮を執った"Conte Verde(緑の伯爵)"と呼ばれたサヴォイア伯アメデオ6世の偉業を讃えて1853年に建てられたものですが、このアメデオ6世は"Ordine del Nodo"の原型である騎士団の創立者でもあります。
実は、かつてこの場所では、異端者達に対する火あぶりの刑が行われていました。この異端者とされた不幸な人達には恐ろしい責め苦が課せられ、その中の一つが"Panca(拷問台)"を使ったものだと語られていますが、今日の人々はその恐怖の念から逃れる為に、その場所の過去をあえて忘れ去ろうとしています。
もちろんこの死刑執行は"死刑執行人"なくしては成立しませんが、トリノでは伝統的にこの"職業"は家業として代々次の世代に受け継がれるものでした。その為トリノの死刑執行人は恐ろしいことに「最高の執行人!」と呼ばれたものでした。彼らは主にRepubblica広場辺りに住んでいましたが、誰もが彼らに家を貸すことを拒否したことから、一旦貸家を見つけた場合にはずっとそこに住むはめになりましたから、例えばBonelli通り2番地などは、長き世代に渡りずっと死刑執行人の住まいとなりました。
又この死刑執行人が実際に使用していた刑罰道具をご覧になりたい方は、Chiesa della Misericordia (ミゼリコルディア教会)を訪ねてみて下さい。
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