ダビデのコラム

トリノ&ミステリー10

トリノで散歩をする場合、その目のやり場は"上向き"だけでなく"下向き"にも視線を払って行うという暗黙のルールがあります。特にLascaris通り、かつてフリー・メイソンの集会所があった場所(現在はVittorio広場に移転)を通ったら、その建物の角の通気口と地下部屋の明り取りの小窓がある所に、注意深く視線を向けてみて下さい。興味深い「ふたつの目」を見つけることができるでしょう。
これをフリー・メイソンに関連した、つまりエジプトにその起源をもつ彼らのシンボルで、彼らを象徴するイコノグラフィー(図像)の中に必ず描かれている"全能の目(プロビデンスの目)" と見なすことは、(全能の目は「一つ目」でもあることからも)飛躍しすぎているかもしれませんが、ついその様に詮索してみたくなります。
また他のフリー・メイソンのシンボル(コンパス、直角定規、垂球糸)は、現在でもAlfieri通り19番地の建物の木製の表門にその形跡を見つけることが出来ますが、この建物はフリー・メイソンによって建てられたものと言われています。
その近くにあるLascaris宮殿は、1700年代に建ったものですが、この建物の入り口、通路、そしてファサードの全てに、一揃いの(装飾用の)怪人面の数々が飾られています。その趣のある存在は"Guardiani della Soglia(入り口の番人)"の伝説に由来するもので、家の中の人を守ってくれるものとされています。
そして19世紀から20世紀のトリノでは、やっかいな教会の存在に対して秘めたる反抗が始まったようで、その証拠のいくつかが存在します。Arsenale通りにある(銀行が入っている)アール・ヌーヴォー様式の装飾を持つ建物の、入り口左右に付いている外灯を良く見ると、その電球を支えているものは悪魔の姿をしています。そしてその悪魔たちが、正面に建っている2つの教会施設(Immacolata Concezione教会とCuria宮殿)に向かって、"しかめっ面"を投げかけているのが分かります。
powered by

お問い合わせフォームへ
このエントリーをはてな
ブックマークに追加 Clip to Evernote mixiチェック