ダビデのコラム

オペラのいろいろ

イタリアで生まれたオペラは、その後、ドイツ、フランス、オーストリア・・と、ヨーロッパ各国に渡り、さらにそれが世界各地へ広がり、それぞれの国の文化の中で新しい形式や作品が生まれました。また、それが元となり、オペレッタが生まれ、ミュージカルの誕生へとつながっていきます。

初期のオペラはオペラセリア(Opera Seria)という形式。このSeria、直訳すると“シリアスな・真面目な”という意味。神話や神聖、高貴でちょっとお堅い作品が創られました。それぞれの幕の間に“インテルメッゾ”という短くて笑える幕間劇が上演されるあたり、このオペラセリアとインテルメッゾの関係は、日本の能と狂言のそれに似ているかもしれません。

王侯貴族のためにつくられ、豪華に上演されていたオペラセリアですが、そのうち大衆的でより身近な題材を扱う喜劇が誕生します。これが発展したものが、オペラブッファです。(その後もオペラは様々な形で発展していきますが、長くなってしまいますので、ここでは省略!)

これらの形式が生まれた頃から、後の時代まで大切にされた、オペラの約束事をひとつご紹介しましょう。それは、「三一致の法則」。

これは何かというと、ひとつの作品の中では、

・ひとつの時・・・・ストーリーは、24時間以内に完結するできごと。

・ひとつの場所・・・舞台となるのはひとつの場所。

・ひとつの話の筋・・話はわき道にそれず、ひとつのテーマを描く。

というもの。フランス古典演劇からの流れなのですが、主なモーツァルト作品もこの約束事をしっかり守ってつくられています。

Kitaraオペラで上演される「コジ・ファン・トゥッテ」もこの形式。あらすじは・・・。

・早朝に老哲学者が青年二人に、恋人である姉妹の貞節を確かなものかどうか、賭けを持ちかける。

・「王の命令で戦地へ」と言って、二人の青年は旅立つ(ふりをする)。

・異国人に扮しやってきた二人は、それぞれ逆の恋人を口説き落とし、結婚の約束まで取り付ける。

・披露宴が始まる頃に扮装を解いて、種明かし。元さやか、はたまた、新たな恋人との末来か・・・?

なんと、ここまでの出来事が24時間以内に、姉妹の住む邸宅の中だけで完結するのです!!!

初演当時は荒唐無稽と言われ、非難も浴びてきたこの作品ですが、この24時間という考えがなければ・・・例えば恋人が遠くに旅立って3ヶ月の間の出来事だったら・・・。荒唐無稽と言って片付けられるかしら???

舞台は遠い昔の18世紀末。でも、そんな風に現代や自分に置きかえてオペラを観てみるのも楽しいかもしれませんね。


札幌コンサートホール15周年 Kitaraオペラ
「コジ・ファン・トゥッテ~女はみんなこうしたもの」



*5/11~13(金~日)に行われた公開稽古の様子

オペラ練習1


オペラ練習2

【KitaraHP】http://www.kitara-sapporo.or.jp/event/?p=22310

文責: 小平明子





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