ダビデのコラム

オペラ歌手の声

遠くまで響くように訓練されたオペラ歌手の声。性別の違いはもちろん、話し声に高い・低い、細い・太いがあるように、歌声にも色々な高さや音色があります。

女声は高い音域を持つ方から【ソプラノ→メッゾ・ソプラノ→アルト】、男声は【テノール→バリトン→バス】。

さらに、リリコ(叙情的な)、レッジェーロ(軽い)、ドラマティコ(重厚でドラマティックな)などの言葉が添えられ、声を区別しています。

それ以外にも声変わり前の男の子が歌うボーイソプラノ、男性でありながら女声の音域を歌うカウンターテナーという声種もあります。

また、バロック時代にはカストラートと呼ばれる歌手が活躍しました。ボーイソプラノの男の子を去勢し、声変わりを抑制した歌手達です。現在のような麻酔の技術はなかったため、その手術は壮絶なものだったそうです(牛乳で皮膚をやわらかくして、アヘンを飲ませて切開!いたたたた・・・)。

医療や衛生環境の整っていなかった当時、手術に成功して大歌手となり、富と名声を手にできたのはほんの一握り。大人の欲のために命を落としたり、無駄な去勢となってしまったりした男の子がたくさんいたようです。

人道的な考えから19世紀の半ばにローマ教皇によって禁止され、1922年に史上最後のカストラートであるモレスキが亡くなり、カストラートは消滅しました。

さて、話を一般的なソプラノ~バスに戻しましょう。

すべてのオペラでそうとは限りませんが、声種と役柄の関係には、ある程度の傾向があり、“ソプラノとテノールの恋路をバスやバリトンが邪魔をする”というのは、とてもよくある構図です。

例えば・・・

【セヴィリアの理髪師】村娘ロジーナ(ソプラノ)と貧しい学生に扮した伯爵(テノール)の恋を、ロジーナの後見人(バス)が邪魔をする。

【愛の妙薬】農夫のネモリーノ(テノール)が恋する農場主の娘アディーナ(ソプラノ)に、兵隊長のベルコーレ(バリトン)が横入りでプロポーズ。

【椿姫】高級娼婦ヴィオレッタ(ソプラノ)と青年アルフレード(テノール)の幸せな生活を、アルフレードの父(バリトン)が引き裂く。

等々他にもたくさんありますが、Kitaraオペラとして上演される「コジ・ファン・トゥッテ」でもこの構図は見られます。

婚約者である青年士官フェランド(テノール)とグリエルモ(バリトン)への愛情や貞操が確かなものか、姉フィオルディリージ(ソプラノ)妹ドラベッラ(ソプラノ)を老哲学者ドン・アルフォンソ(バス)が試します。姉妹を試す筋書きを立てるのは、すべてドン・アルフォンソ。そしてそれを手助けする姉妹の女中であるデスピーナ(ソプラノ)。悪役の多いバリトン、バスですが、知的で渋い歌声は、物語のキーパーソンとなることの多い声種でもあります。

みなさんのお好きな声は、どんな声種でしょう。お好きな声種の歌い手を聴き比べてみるのも楽しいですよ!

Cosi` Fan Tutte

歌手

【KitaraHP】http://www.kitara-sapporo.or.jp/event/?p=22310

文責: 小平明子


お問い合わせフォームへ
このエントリーをはてな
ブックマークに追加 Clip to Evernote mixiチェック