ダビデのコラム

上演までの道のり 第1幕

今回と次回の2回にわたり、上演までに出演者やスタッフがどのような準備をするのか、そのほんの一部をご紹介。どのようなオペラでも、どのような団体でも、だいたいの流れは共通していますが、今回はKitaraオペラ「コジ・ファン・トゥッテ」の公演までの流れをベースにお話を進めます。

【プロローグ】

原語(作曲された時に使われた原語。今回はイタリア語。)での上演の場合には、歌っている文や単語を対訳本や辞書を使い、ひとつひとつ訳します。その原語に精通していれば苦労はないのですが、そうとは限りませんので、この作業はとっても時間がかかります。でも、作品や役を理解するためには欠かせません。(ちなみに、相手役の言っていることがわからないと芝居になりませんので、自分以外の役についても同じ作業をします。)

そして、同時進行で自分の役のパートが歌えるように、各々で地道に練習を重ねます。この練習を“音取り”とか“譜読み”といいます。

【音楽稽古】

いよいよ出演者がそろっての稽古が始まります。何と言っても音楽がしっかりできていないと、オペラは先には進みません。たくさんの時間をかけ、作曲家からのメッセージである楽譜と向き合います。

毎回ではありませんが、当日指揮をするマエストロ(指揮者のこと)も稽古をつけ、音楽の方向性を確認します。今回の公演の指揮者である高関健さんも、マエストロ稽古で多くの示唆をくださっています。

オペラで指揮者以外に活躍するのが「コレペティートア」。歌手に音楽稽古をつける専門のピアニストです。オーケストラの演奏する部分をピアノで演奏し、音楽面でのアドバイスをしたり、言語の発音矯正の手助けをしたりして下さるありがたい方々です。

今回のコレペティートアは海外でも大活躍されてきた三ッ石潤司さん。当日はオーケストラとともにチェンバロ演奏で支えて下さいます(レチタティーヴォにあわせて即興的に演奏されます)。そして、音楽スタッフである鎌倉さん・松岡さんもアシスタントとして、合唱も含めた出演者全員の音楽稽古をサポートしてくれています。


〈コレペティートアによる音楽稽古の様子〉

【言語(ディクション)指導】
歌う言語の母音・子音の発音の仕方やアクセントなどの指導です。日本語とは大きく異なる外国語の発音。よりよく歌えるように、言語指導者が入る場合があります。今回の公演では、演出家の伊藤隆浩さんがイタリア語に造詣が深く、私たち出演者の発音を丁寧にご指導下さいました。

【立ち稽古】
音楽がだいたいまとまると、暗譜(楽譜を覚えること)をして、“立ち稽古”が始まります。演出家のプランに沿って、実際に演技をしながらの稽古です。歌い手たちが音楽を通してそれぞれに頭の中で描いてきた景色や感情が、芝居という実際に目に見えるものとなり、共通認識へと変わります。



〈演出家による音楽稽古の様子〉

【企画運営者のお仕事】
公演の企画に始まり、稽古スケジュールの調整や練習場所の確保、メディアやポスターでの広報活動、外部との連絡調整などなど・・・見えない場所で公演を支えるのが企画運営の担当、Kitara事業課のみなさんです。感謝!!!

今回はここまで。次回は本番直前の準備についてです。


【KitaraHP】http://www.kitara-sapporo.or.jp/event/?p=22310

文責: 小平明子


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